まず職員室に向かう

「あ、先生」
「お? 樹か!久しぶりだな!」
「はい、ご無沙汰してます」
俺も一応この学校の卒業生だから
多少の先生とは顔見知りだ

「で、急に来てどうしたんだ?」
「あの、桜ってもう帰りましたか?」
「ん?倉科さんか、分からんなぁ
でもいつも早めに帰ってるだろ?」
「いえ、今日はまだ帰ってきてないんですよ
だから、心配で、しかもこんな雨ですし」
「そうだなぁ あ、でもまだ体育倉庫の鍵が
返ってきてないからそこにいるかもな」
体育倉庫!?
あそこはたしかに人もあまり通らないし、
薄暗いところだった
「ありがとうございます! 湊、行くぞ!」
「うん!」
俺達は急いで体育倉庫に向かう





だけど、来た時にはもう手遅れで


体育倉庫に着くと、入口で桜が
座り込んでいた
「桜姉!」
「桜!どうしたんだよ!
こんなに濡れて!!」
「お、お兄ちゃんっ どうしよう、
どうしよう」
「とにかく無事でよかった……」
「全然無事じゃない、よ…… 先輩が、」
桜が尋常じゃないくらい震えている
「どうしたんだ?」

だけどその理由はすぐに分かった

「樹兄! 中が!」
湊に言われて体育倉庫を見る
「なっ! 湊! 先生を呼んでこい!」
中に倒れてる少年
それを取り囲む複数の青年達と3人の少女

「何やってるんだよ」

自分でも出したことのないような低い声が
出る

「おっ俺達は、ただ脅そうとしただけでっ」
「そ、そうそうっ」
「そもそも、この女達に、言われて」
「は、はぁっ!? 私達はあの女だけって!」
「勝手に先輩までやったんじゃん!」

そして湊が呼んできた先生のおかげで全部
分かった

倒れてる少年は成瀬璃月君だったということ
周りの奴らは桜を妬んでた女子が
兄の知り合いを連れて来たこと
そして、桜をもう成瀬君に近づけない為に
トラウマを植え付けようとしたところ
成瀬君が来てしまったらしい
そこで運悪く持っていた棒が頭に当たり
成瀬君はそのまま倒れたそうだ


すぐに警察が来てもっと詳しい事情聴取を
女子や青年からしている間に
救急車が成瀬君を病院へ連れていった
そして俺達も先生の車で病院へ向かう