桜は普通の女子中学生だった
「先輩!」
「お、桜か!」
「お、応援してます! 頑張ってください!」
「ありがとなっ!」
そう、普通の女子同様恋をしていた

桜の2コ上、3年生の成瀬璃月君という子に

「よっ、桜!」
「えっ!先輩、どうしたんですか?」
「帰り1人だろ? 俺もだから一緒に
帰ろーぜ」

成瀬君はバスケ部の主将だったし、
顔もよく優しい性格から女子に人気だった
そして、一番仲良かった女子が桜だった
当然、女子から妬まれた

「ねぇ、あんた調子乗ってんの?」
「うっわ、キモ」
「璃月先輩に媚び売ってんじゃねぇよ」
「1年のくせに生意気なんだよ!」
それから陰湿なイジメが始まった


桜はやっぱり俺達には何も言わなかった
だけど、痣や怪我に気づいた俺達は
桜を問いただした
桜は全部話した
放課後呼び出されてることを、
先輩に逆らえない1年が桜を虐めること、
全部、全部話してくれた
涙を流しながら、話してくれた
優しい桜は、無意識に、そのいじめている
先輩達を悪いようには言わなかった
自分がすべて悪いんだって
父さんたちにも話そうとした
だけど、その事は親に話さないで、と桜に
言われたから父さん達には話してない


だけどある日桜が笑顔で話してくれたんだ
「クラスの人との誤解がとけたよ!」
その笑顔は裏表のない、本当に喜んで
いる時の笑顔だった
俺達はすごく嬉しかった
桜が嬉しそうにしているのは、
俺たちからしてもすごく嬉しくて湊と二人で喜んだ

それからすぐだった
桜の記憶がなくなるのは_______________