湊side
九ノ瀬さんが言っていたことは
どんな意味だったのかはわからない
だけどいつも明るかった九ノ瀬さんが
あんな真剣に話すということは大事なこと
だったのだろう
「ただいま」
声をかけても返事は帰ってこない
ゆっくりリビングに近づき、扉を開ける
「あ、おかえり ごめんね 気づかなかった」
いつも通りの声のトーンでキッチンに立つ
桜姉がいた
「さっき九ノ瀬さんにあったよ」
「あぁ、さっき話しててね」
明るく振舞っているけど17年間一緒に
過ごしてきたからわかる
「桜姉、無理はしないでよ」
目元がうっすら赤くなっていること
明るさを取り繕っていること
作り笑いを浮かべていること
もう17年も一緒にいたんだ
わからないわけが無い
九ノ瀬さんが言ってたことはこういうこと
だったんだ
「ごめん」
「?急にどうしたの?」
「ううん 何でもない」
多分今の桜姉にごめんって伝えると
余計悲しんじゃう気がする
これはただそう思っただけだけど
「あ、ハンバーグだ」
「湊が食べた言った言ってたでしょ」
「うん ありがと」
「お兄ちゃん何時くらいに帰ってくるかな」
「分かんない」
「そっか……」
「今日くらいはみんなで食べる?
お父さん達はいないけど」
「うん! じゃあそうしよっか」
俺ができるのは気付かないふりをするだけ
きっと俺たちに心配かけたくないから
嘘をつくんだと思う
だから桜姉が自分から話してくれるまで
「いつまでも待ってるから」
小さく呟いた声は空から落ちてきた騒音に
掻き消された
九ノ瀬さんが言っていたことは
どんな意味だったのかはわからない
だけどいつも明るかった九ノ瀬さんが
あんな真剣に話すということは大事なこと
だったのだろう
「ただいま」
声をかけても返事は帰ってこない
ゆっくりリビングに近づき、扉を開ける
「あ、おかえり ごめんね 気づかなかった」
いつも通りの声のトーンでキッチンに立つ
桜姉がいた
「さっき九ノ瀬さんにあったよ」
「あぁ、さっき話しててね」
明るく振舞っているけど17年間一緒に
過ごしてきたからわかる
「桜姉、無理はしないでよ」
目元がうっすら赤くなっていること
明るさを取り繕っていること
作り笑いを浮かべていること
もう17年も一緒にいたんだ
わからないわけが無い
九ノ瀬さんが言ってたことはこういうこと
だったんだ
「ごめん」
「?急にどうしたの?」
「ううん 何でもない」
多分今の桜姉にごめんって伝えると
余計悲しんじゃう気がする
これはただそう思っただけだけど
「あ、ハンバーグだ」
「湊が食べた言った言ってたでしょ」
「うん ありがと」
「お兄ちゃん何時くらいに帰ってくるかな」
「分かんない」
「そっか……」
「今日くらいはみんなで食べる?
お父さん達はいないけど」
「うん! じゃあそうしよっか」
俺ができるのは気付かないふりをするだけ
きっと俺たちに心配かけたくないから
嘘をつくんだと思う
だから桜姉が自分から話してくれるまで
「いつまでも待ってるから」
小さく呟いた声は空から落ちてきた騒音に
掻き消された

