秋月side

倉科さん、が出ていって俺も帰ることにした
「あ、秋月君!」
「あ………立花さんか」
「今残念って顔したでしょ!
せっかく彼女が迎えに来てあげたのに」
「はいはい、ありがと」

外で待っていたのは今の彼女
倉科さんは腰くらいまでの焦げ茶色の髪を
お下げにしているけど
立花さんは真っ黒の髪を首元くらいで
切りそろえている
倉科さんとは正反対と言ってもいいほどの性格

「俺、髪ロングの方が好きなんだけど」
「私は知らない」

なんでこんな彼女と付き合ったかと言うと
そう深い理由はない
ただ、立花さんも同じ境遇だったから
付き合ってた人に振られた
それも一方的に
だけど忘れられずにいた

立花さんも俺が振られたことを知ってる
だからお互いそれを利用しあってるだけ

立花さんに魅力がない訳では無い
「ね、秋月君! 帰ろ?」
ちゃんと優しいし、可愛らしい
そして居心地がいい
なんというか安心できる



だけど心は満たされない