それから彼女と他愛ない話をした
今の友達関係のこと、クラスの男子が
バカをやっていたこと

どんなことを話しても彼女は笑ってくれた
すごく幸せそうな顔をして
その笑顔につられて俺も幸せになる

「あ、飛行機だよ!」
「え、飛行機? どこ?」
彼女と同じように上を見る
空には大きな空に、絵の具で
ひっぱったような白い線がかかっていた
だけど、飛行機は見えない
「見えないよ?」
「あっちの方だよ! ほらほら!」
「うーん、目が悪くなってきたから
見えないのかなぁ」
「今度一緒に眼鏡屋に行こっか
怪我したら嫌だもん」
「そうだな」
「あと、見えなくなったら、私のことも
見えなくなるでしょ?」

_______________それは嫌だなぁ

悲しそうに笑いながら呟いた彼女
「見えなくなるわけないよ」
「もし見えなくなったとしても
絶対見つけるから」


「……!ありがとう」




それからも、なんの意味のない会話を続けた
そのうちに見た夢も忘れた
心の中のもやもやも消えた
頭の中の不安もきえた

「これからもずっと一緒にいようね」

「あぁ、もちろん」


風にセミの音が乗せらで俺達の耳に届く
彼女の色素の薄い、長い髪が揺れる



俺は彼女を守りきりたい
守れるかじゃなくて、守りたい

どんな嘘をつかれたって、嫌いになること
なんてないと思う



未来はどうなるかわからない
だから、今を幸せに生きよう
この瞬間を幸せに生きよう






この先どんな不幸が待っていても__________