_______________7年後の世界で




NOside

今日もまた墓地に一人の男性が訪れた
昨日も、一昨日も来た男性だ

そして、一つのお墓の前に花束を置き
座り込む
「また来たよ」
誰もいないのにお墓に話しかける男性
この男性は毎日毎日訪れ、
毎回毎回違う花を持ち、

_______________必ず涙を流していた

「今日は天気がいいな」

「昨日はあいにくの雨で長居は
できなかったから今日は昨日の分も
ここにいるよ」

「今日は一昨日話した生徒が学校で1人だけ
テストで100点取ってきたんだ」

「嬉しかった」

「いや、100点を取ってくれた事じゃなくて」

「自分が教えたことを使って、成功して、
喜んでもらえたことが嬉しかったんだ」

「見せたかったなぁ、桜にも」

「いつ間違えたんだろう」

「俺にはまだ分からないよ」

「ははっ、うん、昨日も言ったね」

「でも、昨日も言った通り桜との出会いは
間違ってるとは思わないよ」

男性は熱心に語りかけていた
まるで相手がそばに居るかのように
死人に口無しとは言うけど、耳はないとは
言わない
だからきっと、男性が話していることは
相手に伝わっているだろう


男性は話し続けた
そして、一時間が経過した頃男性は動いた

「じゃあ、帰るよ」

「これ、1本だけ残しとくな」

「汚されたら嫌だろ?」

「明日もまた来るから」

そう言い立ち去っていく男性
その男性が残していった花は光を浴び、
風に揺られて、とても綺麗な白の
彼岸花が飾られている
彼岸花、特に白の彼岸花の花言葉は




_______________「思うはあなた一人」



_______________「また会う日を楽しみに」








どこからか桜の花びらが落ちてくる
それがまた男性に答えてるかのように
落ちてくる








今日は暖かく、春らしい天気だった