「コーヒー豆、けっこう重いから気を付けて」
紙袋に入った豆を飛鳥に受け渡す時、櫂人は一言忠告する。
おまけの時とは違って、そこそこ量があるのだ。
「どうもありがとうございます」
櫂人の忠告に気を付けながら、飛鳥は用心深く紙袋を抱えた。
そして、飛鳥が珈琲店を出ようとした時だった。
櫂人は「飛鳥ちゃん」と彼女の事を呼び止める。
「月末の日曜日、俺のじいちゃん……ここのマスターの快気祝いをやろうと思って。常連さんたち少し呼んで賑やかにさ。
飛鳥ちゃんにも来てもらえたら嬉しいんだけど」
「僕がおじいさんの快気祝いの席にですか……?」
常連とはほど遠い自分がそんな席に顔を出して場違いではないかと飛鳥は首を傾げた。
そもそも、主役のマスターにさえ会った事が無いのに。



