「なあ、歩美」


「ん?」


「ずっとこうしたかった」


「うん」




 桜色に染まった頬。瞳に写る花びら。
 翼を彩る桜に温かさをもらい、優しくなった風を感じる。



 近づいてきた翼。わたしはゆっくり目を閉じて――。



 重なった唇。



 その優しさに包まれて、涙が止まらなくなった。



 入学式。新しい高校。
 新しく始まる今日。



 わたしたちは幼なじみから、恋人になり、
 新しい関係が始まった――――。




   END