嫌いだ。
 こんな自分が嫌い。



 だから変わりたいと思ったんだ。
 自分を変えるために、いい機会だと思った。



 入学式。中学までの自分を捨てて、全てを新しく始めたいと望んだ。



 初めて入る教室。
 新しい机、新しい椅子、新しいクラスメイト。新しい制服を着て、新しい生活が始まる。



 でも、新しくないものが1つ。



「なあなあ、歩美。同じクラスだなんて奇遇ですなー」



 わたしにおちゃらけて言うあいつ、翼。
 近所に住んでいるというだけで、幼い頃から構われ続けてる。いわゆる、幼なじみ。



 同じクラスになってしまったという不運に、わたしは声が出せない。