「き、君どうしてここに……」


 副社長は青ざめて私を見た。


「お願いします。受けとって下さい」

 今度は彼女が頭を下げた。


「いいえ、ですから結構です。お返しします」


「ま、まさか、お前…… 金を渡したのか?」

 副社長は怖い顔で彼女を睨んだ。


「えっ」
 私と彼女は同時に副社長の顔を見た。


「す、すまない…… 彼女は関係ない……」
 副社長が頭を下げた。


 だんだんと修羅場らしくなってきたのだが……


「そう言う訳には行かないのよ。貰って頂かないと……」


「お、お前、金でなんて汚いぞ!」


「だから、どこまで自惚れてるのよ、あなたなんていらないのよ! ましてや、お金まで出して返してもらおうなんて思う訳ないじゃない!」


「お、お前は…… そうやって俺の事をバカにしていたんだな…… いいよ、俺だって…… 美優行こう!」


「ちょっと、待って下さい。私だっていらないって申し上げたじゃないですか?」


「あら、いいじゃない? 主人もそう言ってる事だし……」

 彼女はあの笑顔を向けた。


「ど、どういう事だ!」

 副社長が大声を上げた。