「アイツなら決めれる」

どこからか聞こえてきた声。

光陽の声。

見上げると、光陽の隣に心春らしき人がいた。

心春と光陽の会話が聞こえるくらい、静かな会場だということに改めて気づかされた。

大雅にも、光陽の声が届いたみたいで、顔を引き締めてルーティーンに入る。

そこからは迷いは感じられなかった。

なんの躊躇もなく、大雅の手からボールが離れる。

それは弧を描いてリングの方へと吸い寄せられる。

ゴンッ

ボールがリングのフチに当たった。

入って……。

ボールは、リングのフチをぐるりと回ったあと、内側へと落ちた。