『もしもし』

「…光葵だけど」

『うん。何?』

私は家に帰ってすぐに心春に電話をかけた。

「何で嘘なんてついたの……?」

『あー。ライバル減らすためかな?光葵にあのタイミングでいじめのこと言ったら、絶対莉乃先輩に怒りに行くだろうって思ってたし、そうなったら、莉乃先輩がいじめの首謀者だって部員は思うでしょ?そしたら、莉乃先輩の評判はガタ落ち』

………最低だ……。

『それに、もしそうはいかなくても、部活の雰囲気を壊したって言って光陽たちにキレられるのは光葵かなぁって思って。どう転んでも私にとっていい方向に転ぶように仕向けたの』

ふふっと笑う心春は、心の底から〝怖い〟と思った。

人を傷つけることをなんとも思ってないんだ。