「私のメモ」を始めてから、1ヶ月以上が経った。

初めは煩わしい存在だった「私のメモ」も、毎日続けているうちに自然と日課になり、苦痛ではなくなってきた。
ここ最近は、仕事以外のことを書いても怒られなくなったから、結構好き勝手書いている。

この前なんて、

ーー食堂の味噌汁がどうも塩分過多な気がする。社員の健康も考えて、味噌の配分を考えるべきだと思います!

と書いたら

ーー有り難き意見しかと頂戴した。味噌汁の件は食堂の責任者に伝えておく。

と返事をくれて、次の日から味噌汁が、優しい味に変わった。

その真摯且つ迅速な対応は、流石としかいいようがないのだけれど、半分くらいふざけた気持ちで書いたのに……と少し後ろめたくなってしまった。

また別の日は

ーー節電、節電、といって、エアコンをつけないのはどうかと思います。最近暑くなってきて、事務所にいるのがツライです。こんなに暑いと、仕事効率が落ちると思います。最悪、熱中症になります。

と書いた。味噌汁の件があったから期待してしていた。これで次の日からエアコンをつけてくれるだろうと思ったのだ。

しかし、そう上手く行くはずがない。

ーー暑いと思うから暑いのだ。まだ5月に入ったところだぞ。気合いが足りん。

というコメントをくれただけだった。

そして私が残念そうに項垂れていると「仕方のない奴だ」と、USBに繋げるタイプの小さな扇風機を貸してくれた。
その見当違いの気遣いに少し笑えた。

またまた別の日は、最後の締めの一文が思いつかず、しかも半分寝ぼけていたので

ーーやっぱり、私は幸せになりたいです。

と脈略もなく締めくくってしまった。

すると。

ーー幸せは自分で創るものだ。

というクサイ台詞と共に、四葉のクローバーの栞を挟んでくれていた。案外カワイイ人だ。