しかし、ここでいつまでも立っているわけにもいかない。怒られるだけだ。
とりあえず表にでて、空いた皿を下げたりして、仕事してるフリをしておこう。

どうか誰も声を掛けないでくれ~と心に念じながら、出来るだけ控えめに、宴会場をウロウロしてみる。

が、そんな願いも虚しく、


「おーい、姉ちゃん、瓶ビール10本持ってきて!」

「麦ロック1つ、芋水割り1つ、あ、2つ、熱燗3本、おちょこは3つね!」


などという、面倒くさい注文を受けてしまったりする。


あ、頭が、パンク、しそう……


私は半泣き状態で、ビールを10本持っていき、難解な注文を思い出しながら、ドリンクをつくった。

芋だとか麦だとかよく分からない。
水割りの分量は適当だ。


「お待たせ致しました……」

飲み物を持っていくと、案の定、クレームがきた。

「遅ぇ」
「水割り1つ足りねぇよ」
「熱燗も1本足りない」
「おい!芋と麦間違えてるぞこれ」

ここまで来ると、何が間違えていたのかも、分からない。

「す、すみません~」

極限まで追い詰められていて、ショート寸前だ。こうなると、何もできなくなってしまう。

どうしよう。
誰か助けて……。


すると、そこに天の声が……