あの気さくに声をかけてくれるおじいちゃんがもういないなんて、胸の奥がギュッと苦しくなった。


「梢は特に俺の爺ちゃんの事気に入ってたからな。なかなか言い出せなくて、そのまま忘れてた」


渉はそう言い、申し訳なさそうに頭をかいた。


「そうだったんだ……」


おじいちゃんのお葬式くらい、出たかったな。


心の中でそう思う。


だけど、今更そんな事を言っても遅い。


亡くなった人は戻らない。


時間だって、戻らないんだ。


不意に和夫と准一の顔を思い出し、胸が潰れそうな気持ちになる。


自分の服をギュッと掴んだとき、美津が口を開いた。


「あのさ、准一の事は調べないの?」


「え?」


あたしはキョトンとして美津を見る。


「ほら、あの幻覚のこと」


「あ……」


ここへ来て准一の思い出話をしている間に、すっかり忘れてしまっていた。