こちらまで苦しくなるようなその声がした瞬間。


目の前に准一の姿が見えていた。


准一は沢山の管に繋がれたベッドの上で、苦痛に顔を歪めていた。


『誰か！　助けて！！』


叫び声をあげ、喉をかきむしり、もがき苦しんでいる。


目は血走り、口から唾を吐き出しながら人間とは思えな奇声を上げる准一。


その姿にあたしは後ずさりをしていた。


嘘でしょ？


准一の両親は、准一は眠るように息を引き取ったと言っていた。


だけど本当は……准一は苦しんでいたの？


目覚める事のない意識の中で、１人で必死に助けを求めていたの？


まるで、あの写真の准一みたいに……。


やがて、幻想の中の准一は動きを止めた。


誰かに助けを求めるために手を伸ばしたまま、突然動かなくなったのだ。


写真と同じように苦痛に顔を歪めたままの准一が、ベッドの上からグラリと揺れた。


准一の体はそのままベッドから転げ落ち、辺りの器具が大きな音を立てて倒れていく。


それっきり、准一はピクリとも動かなかったのだった。