こんなの単なる偶然だ。


「確かに、写真じゃないかもしれない」


美津がポツリと呟くようにそう言った。


みんなの視線が美津に集まる。


「でも、写真を撮ったあの場所に何かがあったとしたら?」


美津の言葉にあたしの胸がギュッと痛んだ。


それはあたしも少し考えていたことだった。


立ち入り禁止の古びた看板。


あれをどうしても忘れる事ができないままだった。


「どういう意味?」


愛子がベンチへ戻ってきて美津へそう聞いた。


「あたし、気になって調べたの。あの丘の事」


「それで?」


理子が聞く。


「あの場所は昔墓地として使われていたらしいんだ。ずっと昔、土葬だった時代」


「そんなの、よくある話だろ」


そう言ったのは渉だった。


「でも……」


美津は不安そうな表情を変えない。


「大昔まで遡れば、どこだって墓地になる。あちこちで人が死んで、そのまま骨になってたりもするんだろうしな」


「渉の言う通りだよ、美津」


理子が渉の意見に賛成してそう言った。


けれどそれは、自分の中の恐怖を消すためにも見えた。