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彰がいる病院は和夫が入院していたのと同じ病院だった。


広い廊下を抜けてエスカレーターに乗る。


学生服の男女がゾロゾロと院内を歩くのは嫌でも目立ってしまうから、すぐに帰ろう。


そう思っていたのに、彰は運ばれて来た後病室まであてがわれていることがわかった。


みんなが一瞬不安な表情を浮かべる。


「だ、大丈夫だって!」


明るい声でそう言ったのは翔太だった。


「熱が高いから、ちょっと検査でもするんじゃねぇの?」


「そ、そうだよね……?」


翔太の言葉に愛子が続いた。


みんな、和夫の死を頭のどこかで思い出しているはずだった。


だけどそれは顔にも声にも出さず、明るい方へと思考回路を持って行く。


あたしも、本当は不安で不安で仕方がなかったけれど、「きっと大丈夫だよ」と、明るく言ったのだった。