世界のどこかでは毎日人が亡くなっていると言うのに、自分の身近な人となるとこんなにも苦しい。


「梢、大丈夫?」


あたしが暗い表情をしていたからか、愛子が心配してそう声をかけてくれた。


「大丈夫だよ……。ただ、不安で」


あたしは思ったままを口にしていた。


彰の病気がなんなのかも不安だし、本当にこのまま死ぬまでずっと和夫に会う事が出来ないと言う事実も、とても不安だった。


それに、あの写真も……。


写真のモヤを思い出しそうになって、あたしはギュッと強く目を閉じた。


思い出したくなんてない。


「梢、もうつくよ」


愛子にそう言われて目を開けると、バスは病院の駐車場へと入って行くところだった。