「これ、ここ見て」


渉は写真から顔をそむけているあたしに気が付かず、写真を指さしてそう言った。


「なに……?」


嫌な予感がする。


見たくない。


だけど今は渉と2人きりだ。


この空気を壊したくなかった。


あたしは深呼吸をして目の端だけで写真を見た。


渉の写真の右上にも黒いモヤが出てきている。


「これ、こんなモヤあったっけ?」


渉もこのモヤに気が付き、気にしていたようだ。


「さぁ? よく覚えてないけど」


あたしはできるだけ平静さを装ってそう答えた。


よく覚えていないのは嘘じゃない。


「でもさぁ、この日ってすごい晴れてたし、どうもおかしいと思うんだよな」


やだ、やめてよ。


そんな話聞きたくない。


あたしは唇を噛んで下を向いた。