お母さんから聞いた話が衝撃的過ぎて、あたしはすぐに渉に連絡する気にはなれなかった。


闇丘祭りで闇丘に置き去りにされる子供は、もしかしたら自分だったかもしれないのだ。


そう思うと背中に寒気が走った。


翌日は学校が休みだった。


あたしと渉と翔太の3人は昼頃ファミレスに集合し、あたしは昨日お母さんに聞いた話をした。


翔太は相変わらず興味がなさそうな顔をしていたが、渉は真剣に聞いてくれた。


「そんな祭りがあったんだな」


「うん。12年前なんて、すごく最近なのにね」


もっと昔の闇丘祭りがどんなものだったのか、想像するのも恐ろしかった。


もしかしたら、子供の生贄を捧げていたのかもしれないのだ。


「悪いのは大人って言ってもさ、殺されてんのは俺たちじゃん」


翔太がイライラした様子でそう言った。


「何を調べてみたって結局意味なんてないんじゃねぇの?」


「そんな言い方ないだろ」


渉が翔太をたしなめると、翔太は軽く舌打ちをした。


「で、これからどうするんだよ」


翔太がめんどうくさそうにそう言った時だった。


窓ガラス越しに美津の姿を見つけてあたしは「あ!」と声を上げていた。


昨日、あれから美津と連絡を取っていなかったのだ。


てっきり病院にいるものと思っていた。