「闇丘ばかりに悪い事を吸収させていると、いつか闇丘の容量を超えてしまう。だから、純粋で穢れのない子供に少しだけ闇丘の悪い物を取ってもらう。そういう意味合いがあったらしいのよ」


「12年前まで、そんなことをしてたの?」


「そうね。とても残酷だったと思うわ」


お母さんは眉をひそめてそう言った。


そして、話を続ける。


「あの日も闇丘祭りが近かった。今度は誰の子が闇丘に取り残されるんだろうって、みんな不安だった。


自分の子はやっぱり可愛いから、あんな丘に置き去りになんてできないと思ってた。そんな時、彰君があの公園で事故に遭ったのよ」


その言葉にあたしは頭痛を感じた。


夢の中で見た、忘れていた映像が蘇って来る。


公園の外で大きなトラックが事故を起こした。


トラックの影から、倒れている子供が見えた。


それが、彰……?