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「彰? 誰それ?」


C組の生徒に質問した答えがそれだった。


あたしは顔見知りのその子に一生懸命彰について説明をした。


「彰は確か、窓際の一番後ろの席だったよ。ほら、前から7番目の席の――」


そう言ってC組の教室を覗き込み、あたしはまたも言葉を失ってしまった。


C組の窓際の席は6席しかなかったのだ。


「窓辺の列は6席しかないよ?」


C組の生徒はますます首を傾げてキョトンとした表情になっている。


「うそ、なんで? ほら、ちょっと前にC組で倒れた生徒がいるでしょ!?」


あたしがどれだけ必死に説明しても、彰という存在はC組から完全に消えてなくなっていたのだった。


それでも信じられなかったあたしは、C組のクラス名簿と集合写真を見せてもらった。


どちらにも彰の名前はなく、その姿も写っていない。


あたしと渉に感づかれてしまったから、消えたのかもしれない。


「ねぇ、大丈夫? 他のクラスと間違えてない?」


クラス名簿を前にして呆然と立ち尽くしているあたしに、C組の生徒が心配そうにそう言ってくれた。


「ありがとう、大丈夫だよ……」


そう返事をして教室へ戻ろうとするが、体がフラついてうまく歩けない。