「じゃあ、あたしたちの前にいた彰は? 彰との記憶は?」


「記憶はおそらく作られたものなんだろう。実体化して見えた彰は本人か、あるいは別の強い霊が彰の名前を借りてこの世に出て来たのかもしれない」


渉は時々頭を抱えるようにして考えながら言った。


渉でもわからないのだ。


「仮に彰本人が姿を見せていたとして、どうしてそんなことをする必要があったの?」


「そこまではわからない……」


そう言い、渉は写真を撮り出した。


身を乗り出して確認してみると、モヤが彰だとハッキリ見えるようになっていた。


けれど、それよりももっと大きな変化が表れていたのだ。


あたしたち全員の顔が歪んでいたのだ。


「マジかよ……」


それを見た瞬間、渉の顔が青ざめた。


あたしも美津も翔太も、そして渉も。


全員の顔が和夫たちと同じように歪んでいる。


「あたしたち、全員死ぬってこと?」


そう聞くと、渉は黙ったまま何も言わなかったのだった。