昔亡くなった子供……?


その言葉を聞いた瞬間、視界がぐらりと歪んだ気がした。


記憶の奥底をえぐられるような不快感に、メマイを感じる。


『梢? 聞いてるか?』


「う、うん……」


あたしはベッドに座って返事をした。


『子供名前までは思い出せなかったけど、今から10年以上昔、この近所で小さな子供が亡くなったらしい』


「そう……なんだ……」


10年以上前。


あたしたちが5歳とか、そのくらいの時の話だろうか?


記憶になくて当たり前だった。


『だからこれから図書館に行ってその情報について調べようと思うんだ。梢、一緒に行かないか?』


あたしはお母さんに家にいなさいと念を押された事を思い出す。


きっと家にいないと知れば怒るだろう。


昨日の同様の仕方から見ても、ただ怒るだけで許してもらえるかどうかもわからない。


もしかしたら、しばらく外出禁止になってしまうかもしれない。


でも……。


10年前に何があったのか、この目で確認してみたいという思いが強かった。