朝早い時間なので、生徒の姿はほとんどなかった。
渉に早く来るようにメールを入れておいてよかった。
「でも、あたしのお母さんはあたしも知っているような口ぶりだったの。『覚えてないの?』て言われたから」
「覚えてないの? か……。もしかしたら、俺たち全員に関係のある人物かもしれないな」
そうかもしれない。
だからあのモヤを見ているとなんだか見覚えがあるような感覚になってくるのかもしれない。
「でも、梢のお母さんが頑なに口を閉ざしたんなら、俺の両親もなにも教えてくれないかもしれないな」
「そう……だよね?」
それも懸念していることの1つだった。
あれだけ頑固になって何も教えてくれないなんて、珍しいことだった。
大人たちのとっては思い出したくない人物である可能性があった。
そんな会話をしていると、教室の中に美津が入って来た。
美津は目の下にクマを作っていて少しやせたように見えた。
「美津、大丈夫?」
『おはよう』の前にそう言って駆け寄るあたし。
渉に早く来るようにメールを入れておいてよかった。
「でも、あたしのお母さんはあたしも知っているような口ぶりだったの。『覚えてないの?』て言われたから」
「覚えてないの? か……。もしかしたら、俺たち全員に関係のある人物かもしれないな」
そうかもしれない。
だからあのモヤを見ているとなんだか見覚えがあるような感覚になってくるのかもしれない。
「でも、梢のお母さんが頑なに口を閉ざしたんなら、俺の両親もなにも教えてくれないかもしれないな」
「そう……だよね?」
それも懸念していることの1つだった。
あれだけ頑固になって何も教えてくれないなんて、珍しいことだった。
大人たちのとっては思い出したくない人物である可能性があった。
そんな会話をしていると、教室の中に美津が入って来た。
美津は目の下にクマを作っていて少しやせたように見えた。
「美津、大丈夫?」
『おはよう』の前にそう言って駆け寄るあたし。



