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その後お母さんに色々と訊ねてみたけれど、詳細を教えてもらえることはなかった。


「忘れていることを思い出す必要はない」


と、一言で終わらされてしまうのだ。


だけど、これは大きな情報だと思えた。


あのモヤの正体はあたしたちの親の世代が知っている人物だと特定できたのだから。


この情報をすぐに渉に知らせたくて、翌朝30分も早く家を出て学校へ向かうことにした。


「渉!」


校門を抜けたところで渉の後ろ姿を見つけてあたしは声をかけた。


「梢。メール読んだよ。梢の親があのモヤの人物を知ってるって?」


さっそく本題に入った渉にあたしは大きく頷いた。


「そうみたい。だけど、詳しい事はなにも教えてくれないの。写真も神社に持って行かれちゃった」


「そうか……。梢の親が知ってるってことは、俺の親も知ってるかもしれないってことだよな」


「うん。あたしもそう考えてた」


あたしたちは並んで歩きながら会話を進めた。