和夫と准一、それに愛子と理子の顔が奇妙にゆがんだ写真。


その写真をひとめ見たお母さんは表情を歪めた。


「なによ、この写真……」


呟くような声で言い、ジッと写真を見つめている。


あたしは何も言えず、ただお母さんとその手に握られている写真を見つめているしかできなかった。


今起こっている出来事を説明したって、きっと信じてもらえないだろう。


「このモヤ、気持ちが悪い」


お母さんが右上のモヤに気がついてそう言った。


「人の顔みたいじゃない。ねぇ、なんなのこの写真は」


「それは……みんなで撮った、集合写真……」


そうとしか説明しようがなかった。


あたしたちだって、どうして写真がこんなに変化してしまったのかまだわからないままなんだから。


「このモヤ、人の顔みたいに見えるけど……」


そう言った瞬間、お母さんが目を見開いた。


まるで何かに気が付いたように息を飲む音が聞こえて来る。