「そう。それなら家で大人しくしていなさいよ?」


「わかってるよ。今日はどこにも出ないから、心配しないで」


あたしの事を心配してくれていても、今の状況を説明することができないお母さんに苛立ちを覚えていく。


知らない間に目つきが鋭くなっていたようで、お母さんが怪訝そうな表情になった。


まずい、このままじゃもっと長引きそうだ。


そう思い、すぐに笑顔を浮かべた。


意識的に浮かべた笑顔は不自然になり、お母さんが部屋に入ってきてしまった。


「梢、なにか隠し事でもしてるんじゃないの?」


「な、なにもしてないよ!」


すぐに立ち上がり、お母さんを部屋から出そうとする。


その時だった。


「あら、この写真何?」


テーブルの上に置いていた写真に気が付かれてしまった。


「なんでもないの!」


そう言って隠そうとするより早く、お母さんが写真を手に取っていた。