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正直、1人で家にいると気が滅入ってしまいそうになる。


かと言ってお母さんの前で無理に笑顔を作る元気も、今のあたしには残っていなかった。


気分を変えようと机の前に座って教科書を開いてみるけれど、内容は全く頭に入って来なかった。


しばらく教科書と格闘していたあたしだけれど、諦めて音楽を流す事にした。


明るいJPOPを聞くと元気が出る。


部屋の雰囲気も変わるし、気晴らしになる。


だけどやっぱり心の中にはあの写真があって、あたしは引きだしを開けた。


写真を取り出して確認すると、理子と愛子の顔が歪んでいた。


そして右上の確認する。


モヤの中の顔立ちが更にクッキリと浮かび上がって見えていた。


「男の人……?」


あたしはモヤをジッと見つめてそう呟いた。


相変わらず輪郭はぼやけていて見えないけれど、太い眉にスッと通った鼻筋は男性っぽさを見せていた。


「これ、どこかで見たことがある顔だ」