あたしたちは渉について走りだす。


音は公園のすぐ近くから聞こえて来た。


公園を出ると、大きなトラックが公園の塀に突っ込んでいるのがわかった。


音の原因はこれだったみたいだ。


あたしは怖くて足が一歩を前に進まなくなった。


早く大人の人に知らせなくちゃ。


そう思うのに、自分の体が言う事をきかなかった。


渉がトラックへ近づいて行き、運転席にいる人に声をかけている。


「大丈夫だよ」


という声が聞こえて来て少し安心する。


でも……でも、あたしには見えてしまったんだ。


公園に突っ込んだトラックの下に、子供の靴が転がっていることに。


渉もその事に気が付き、周囲を見回した。


そして、トラックの向こう側に何かを見つけたのか慌てて駆け出した。


「おい! お前、大丈夫か!?」


渉のそんな声が聞こえて来る。


あたしは茫然として立ちすくんだまま、道を挟んで向こう側に停車している白い車を見ていたのだった。