「まだそんなものに頼ってるの?」


その声は低くひどくしゃがれた声で、あたしはビクッと身を震わせた。


理子の声は跡形もなく消えてしまっているのだ。


「あなたは誰?」


そう聞く自分の声が震えている。


怖い。


その気持ちが湧いて来て手が小刻みに震え始める。


だけど、理子から目をそらす事はしなかった。


ここで視線を外したら、その瞬間になにが起こるかわからない。


「なにをしても無駄。どうせみんな死ぬ」


理子がそう言い笑い出した。


おかしそうに、そこら中に響き渡るような声で。


頭の中までガンガン響いてくる笑い声にメマイを覚え、あたしは両足をふんばった。


「みんなが死ぬなんて、そんな事はさせない!」


渉がそう言い、あたしの隣に立った。


その手にはお守りが握りしめられている。