思いもよらない力に尻餅をつき、唖然とする渉。


「渉、大丈夫?」


慌てて駆け寄ると、渉は「あ、あぁ……」と、頷き、立ち上がった。


その瞬間、理子に押された肩を押さえて顔をしかめる。


「理子、なにしてるの? もう帰ろうよ」


できるだけ理子を刺激しないように優しい声で話かけた。


理子の視線があたしを捕らえる。


その瞬間、まるで金縛りにでもあってしまったかのように体が動かなくなっていた。


恐怖で笑顔がひきつり、額に汗がにじむのを感じる。


目の前にいるのは理子であって、理子じゃない。


なにかが理子の中に入り込んでいる。


あたしは大きく深呼吸をして自分を落ち着かせると、お守りに手をかけた。


服の中から取り出してギュッと握りしめると、理子が眉間にシワを寄せる。