渉の言葉にあたしはふと思い出した。


そういえばこの学校には昔使っていた焼却炉があるはずだ。


今は業者がゴミを引き取りに来るから使われていないようだけれど、あそこならひと目がつかない。


もし、誰にも見られたくないのであれば、あそこを選ぶだろう。


「梢?」


考えていたあたしに渉がそう声をかけて来た。


「焼却炉にいるかも」


ただの勘だったけれど、ここでぼんやりしている暇だってないのだ。


あたしは渉と一緒に焼却炉へと向かったのだった。