『もしもし、梢?』


「も、もしもし!?」


間違いない、これは愛子の声だ!


あたしは渉を見た。


渉は不安げな表情であたしを見つめている。


『今、学校に行く途中なの』


「え? 学校?」


あたしは愛子の言葉に聞き返した。


学校から帰っている途中ではなくて、学校に行く途中とはどういう意味だろう?


学校はさっき終わったはずだ。


『理子に呼び出されたから』


「理子に? 理子はまだ学校にいるの?」


『そうみたい』


あたしは大股に歩いて行ってしまう理子の後ろ姿を思い出していた。


あの後理子は学校へ戻って来たということだろうか?


それとも、最初から学校を出ていなかったのかもしれない。


「愛子、理子に呼び出された原因がわかる?」


『なにか話したいことがあるんだって』


「話したいこと?」