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病院行のバス停まで来ると、次のバスが到着するまであと20分もあることがわかった。


この待ち時間が気を焦らせる。


あたしと渉はバス停のベンチに座ったまま落ち着かずに周囲を見回していた。


理子と愛子の事が気になってさっきからメッセージを送っているのに返事が来ない。


もしかして2人とももう……。


そんな嫌な予感が胸をよぎっては、左右に首を振ってその考えをかき消した。


「もう1度、愛子に電話してみるね」


あたしは渉へ向けてそう言うと、スマホに耳を当てた。


何度か電話をかけてみているけれど、こちらも無視されていたのだ。


今回もきっとダメだろう。


そう思った時だった。


しつこいくらい鳴らした20回目のコールで『もしもし?』という声が聞こえて来たのだ。


咄嗟の事で返事ができず、茫然としてしまうあたし。