不安は少しでも少ない方がいい。


「嫌だって言ってんじゃん!」


理子はあたしに唾を吐きかけてそう言うと、1人で大股に歩き出してしまった。


「理子、待って!」


その後を追いかけようにも、愛子を1人にしておくことはできない。


「愛子、行こう」


「あたしも、今日は1人で帰りたい気分だから」


いつもあたしと一緒にいて、仲良くしてくれている愛子の言葉に、胸がズキリと痛む。


この言葉が愛子の本心ではないと知りつつも、やはりつらかった。


「でもさ、2人とも顔色が悪いし、心配だから……」


「大丈夫だよ。理子だってもう先に帰っちゃったんだから」


愛子はそう言うと、あたしと視線を合わせる事なく、理子の後を追いかけるように言ってしまったのだった。