霊感がない人からすると、霊感がある人はみんな幽霊が見えるものだと勘違いしているところがある。


だけど、霊感にも強弱があり、あたしや渉は霊を見るほど強い力を持っていない。


「でもさ、その力があると今回の事も簡単に解決‼ なんてことにはならないの?」


愛子が拝むような視線を向けて来たのであたしは顔を顰めてしまった。


「そんなの無理だよ。愛子が言っているのは成仏とか、お祓いができないのかって事でしょう?」


「うん、それか、あたしたちにとりついている幽霊の未練を晴らしてあげるとかさぁ」


あぁ、そういえばそんなストーリーの映画をやっていた事を思い出す。


霊感のある主人公の女の子が街中でイケメン幽霊に声をかけられて『俺の事が見えるなら、俺の未練を晴らす手伝いをしてくれないか』とか言われるラブストーリーだ。


残念ながら、あたしには幽霊と会話できるほどの力はない。


本当に、ただ肌に感じるだけなのだ。


それを説明すると、愛子は残念そうに大きなため息を吐き出した。


2人も亡くなっているのだから無理もない。