今まで隠していた事をみんなに伝えたあたしと渉は清々しい気分だった。


あたしは直接霊感があると伝えたワケじゃないけれど、あの話で十分伝わっている様子だった。


「梢」


分かれ道に差し掛かった所で渉に呼び止められて立ち止まった。


他のメンバーはそれぞれの帰路についていた。


「なに?」


「これ、やるよ」


そう言って胸ポケットから取り出したのは厄除けを書かれた赤いお守りだった。


「これって……」


「お守り。霊感がある人間が持っていれば、悪い霊から守ってくれるらしい」


「こんな大切なもの、受け取れないよ!」


「大丈夫だって。俺はもう1個持ってるから」


渉はそう言うと、あたしの手のひらにお守りを置いた。


赤い生地に金色の刺繍が輝いている。


「あり……がとう」


言いながら、自分の頬が赤く染まって行くのを感じていた。