「渉、あたしもちょっと気になってることがあるの」


あたしはおずおずと話を切り出した。


渉が長年隠していた事を話してくれたんだ。


今度はあたしもちゃんと話さなきゃいけない。


みんなも聞いている中、あたしは少し緊張しながら話始めた。


「あの写真。写真事態はなんだか嫌な雰囲気が漂っているけれど、モヤを見ていても嫌な気分にならないのはどうしてだと思う?」


写真に洗われているモヤがあたしたちを脅かしている存在だとすれば、そこにも寒気などを感じられるはずだった。


だけど、あのモヤにはそれがないのだ。


「わからない。なんだろうなあのモヤ。見ていたら、懐かしい気分になってくるんだ」


渉はあの写真を思い出すように目を細めてそう言った。


懐かしい気分、か……。


写真事態に嫌な感じを受けるからずっと見ているワケにはいかないけれど、確かにそうかもしれない。


「あのモヤの正体は、人に危害を加えるような霊魂じゃない気がする」


「あぁ。だけど実際に和夫と准一は……」


そこまで言って、渉は口を閉じた。


そうなのだ。


実際に、偶然とは言えない形で被害が出ている。


あたしと渉はみんなについて歩きながら考えた。


2人にしかわからない、共通の予感を覚えながら……。