こんな時に笑うなんて不謹慎だと思いながらも、みんなから笑顔が浮かんだ。


「ほんと、可愛いね」


あたしは愛子の言葉に頷く。


更に見ていくと写真の中の准一はどんどん成長していき、時々あたしたちと一緒に写っている写真が入るようになってきた。


そしてついこの前、入学式の写真が視界に入った。


瞬間、心臓がドクンッと大きく跳ねた。


「このモヤ……」


あたしが気が付いた事を、理子が呟く。


写真の中のモヤがパッと見でわかるくらい人の顔に近づいているのだ。


全体的な輪郭はないが、モヤの中に目と口が浮かんでいる。


誰も、なにも言わなかった。


翔太でさえ青い顔をしたまま動けなくなっていた。


渉はアルバムを閉じることもできないまま、写真をジッと見つめている。