「もういいよ。テレビ見る」


私はそう言って、慣れた手つきでテレビの電源をつけて、リモコンを片手に番組表を開いた。



「お!なんかドラマの再放送やってるよ!」


「ふーん」

テレビの前でしゃべる私と、体の半分をベッドに預けながら適当に返事をする翔真。



学校では、『熟年夫婦』と言われるくらい自然とずっとそばにいて、落ち着ける存在同士である私たち。



幼なじみを通り越して、家族みたいなもんだ。


かっこいいかっこいいと学校ではちょっと騒がれている翔真だけど、私はかっこいいなんて一度も思ったことはないし、どっちかって言うと、ゴキブリが大の苦手で私に退治するのを任せて逃げちゃうところとか女々しくて頼りないやつだ。