わたしにスマホを返して、颯爽と改札のほうへ向かう彼は、派手な身なりからかなり注目されているけど、本人は至ってマイペース。


「……てことは」



もしかして、今わたし、名前も知らない金髪の不良風なひとと付き合うことになったってこと!?


自分から告白しておいてなんだけど、それがすごくありえないことのような気がして。



でも、スマホにはちゃんと、新しい連絡先が追加されていた。


【新しい友だち1 琥珀】


それが、バカなわたしでも『コハク』と読むことくらいわかっていた。



琥珀くん……か。


初めて恋した男の子を、数秒でものにしたわたしは、尻軽なんでしょうか。







聞きたいことは山ほどあった。



フルネーム、年齢、職業───どうしてわたしの告白をオッケーしたのか。


挙げればキリがないほどあるけど、お仕事あるって言ってたし、その後質問攻めに遭うのは災難だと思って、やめた。



「……寝よう」