【短編】それでもあなたが好きです。



わたしより、琥珀くんに釣り合っている彼女は、どこからどう見ても、彼の特別なひとにしか見えなくて。


「なん、で……」



彼女を見る琥珀くんの目も、わたしなんかに向けるものより、何倍も優しく見えて。


ぶわっと涙が溢れてきて、仕方なかったし、素直に悲しかった。



「あ、一椛───っておい!」



目が合った瞬間、もう嫌だって思って、走り出していた。


そうだ、そうだよね。



18歳で仕事をしている一人前が、16歳のちんちくりんと、本気で付き合うはずないよね。


遊び、暇つぶし、笑いのネタ。



そんな言葉の似合う付き合いで、本気だったのはわたしだけだった。


約2日間だけの付き合いだったけど、しあわせだった。