閉店時間も近づいてて、店内に残る客は私達だけだった。
物凄く迷惑だったと思う。

私は再び2人に謝ってから、カバンの中からシステム手帳を取り出し、
玲奈の電話番号をメモに書いた。

「この子の携帯番号です。気が向いたら連絡してあげてください。ちょっと、酒癖は悪いけど……いい子なので」

一応フォローを入れて、そのメモを稲森さんに渡す。

「あ、はい!連絡します、必ず」

稲森さんは顔を少し赤らめながら受け取ってくれた。


「さ、帰ろ。しつこい女は嫌われるよ。待ってたら連絡くれるかもしれないし」

私は玲奈を引っ張り、店内を出る。

すると、稲森さんと風見さんが、出口まで見送ってくれた。

玲奈は、かなり名残惜しそうに「連絡まってます」と何度も店を振り返り、手を振っていた。

私は、その積極性を少しだけ分けて欲しいと素直に思った。


玲奈は酔っ払うと尻軽になってしまうので、いつも私がストッパー役になっている。

酔いが覚めて冷静になっても、やっぱりこの人!と思える人と関係を持ってほしい。
(明日には熱も冷めているかもしれないし)


まあ、私は風見さんの方が素敵だと思うけど……

なんて考えながら、ベロベロに酔う友人を自宅に送ったのだった。