桐生 竜也(きりゅう たつや)と出会ったのは、三年前、高校の入学式の日。

私の前の席に座っていたのが桐生だった。

出会ったと言っても、初めて彼と話したのはもう少し後のことなので、私が初めて彼を認識したのが、入学式ということだ。

私達が通っていた高校は、クラス替えが無かった。



このメンバーと三年間、学校で過ごすことになるのかと教室を見渡しながら思った。

桐生のことは、前の席男子かよ、くらいにしか思わなくて、名前も覚えていなかった。






そんな、私と彼が話すようになったきっかけは、同じ委員会になったことだった。

入学してから一週間後くらいに、委員会とクラスの係決めがあり、私は風紀委員になった。

なったというか、ならざるを得なかったというか――。

委員会かクラスの係のどちらかには所属しなければいけない決まりだったので、仕方なくラクそうな委員会に入ったのだ。

うちの高校は私服で、校則もそんなに厳しくない。

風紀委員会の仕事に服装チェックなんてものはなかったし、あいさつ運動も昔は毎週やっていたらしいが、今は廃れて時々するくらいになった。

一体、何のためにこの学校には風紀委員会があるのかと誰もが思うだろう。



ともかく、この委員会、楽そうだなと思った私は風紀委員会に入った。

委員会は男女一人ずつ、というのが決まりで、その私ではないもう一人の委員が桐生だったのだ。





委員会が面倒くさいのは、月に一回、定例会があることだ。

まあ、それさえ参加しとけば、ほとんど仕事はないのだが。

高校一年の四月下旬、前期風紀委員会の第一回定例会があった。

定例会が始まるまでの時間、招集をかけられた時に指定された教室の席で、各々の委員は雑談していた。