「いったいどうしてん?」
亮から博貴へと視線を移す信五。
「精神的ストレスからくる発作やないかって…。ずっと食べてへんし寝てへんかったみたいや。」
「何でや。目に見えてわかったのに…。」
悔しさで壁に拳をぶつける裕。
「それはみんな一緒や。」
裕の肩を叩くすばる。
「亮。ごめんな。」
力なく呟く裕。
何ともいえない微妙な空気が病室を包む。
重くなっていく空気の中
拳を握り締める博貴。
「…辛いのは亮やけやない。雛乃やって辛いねん。」
急に声をあげる博貴。
「せやけど一番辛い立場におったんは亮やったんかもしれへん。」
切なそうに亮を見る隆平。
「辛い気持ちに一番も二番もないねん。」
怒りで震えているのか
口調が荒くなる博貴。
「そうかもしれへん。せやけどこんなにも思いつめてたんや。」
「だからなんねん。雛乃やってボロボロや。見てられへんねん。」
見かねた忠義が博貴と隆平の間をわってはいる。
「やめろや。お前まさか雛乃のこと。」
一瞬、空気が凍りつく。
「好きや。」
俯き答える博貴。
「正気か?章大の彼女やで?」
胸倉を掴むと博貴につめよる忠義。
「言われんでもわかってる。せやけど本気やねん。」
忠義の腕を振りほどくと
冷め切った目で忠義を睨む。
「うるせぇよ。今はそんなことどうでもええねん。博貴が雛乃に惚れてようがしったこっちゃねぇ。」
この空気をぶち破るかのように声を荒げる裕。
みんなを睨むように見ると亮へと視線を戻す。。
「静かにしようや。今は寝かせてやってや。」
冷め切った信五の表情に静けさを取り戻す。


