『明日、朝からバイトなんだ』
「うん」
夜は?
夜!夜!!
夜はっ!?
『で、夜から実家帰る予定にしてたんだ』
へっ!?
ダンナーーーーーー!!
明日はイヴですぜ!
聖なる夜!!
恋人たちの夜では?
「そ、そっか。そっかそっか。そっか。うん、そっか。そうなんだ。あ、明日早いんでしょ?もう切るね。おみやげよろしくねっ。良いお年を~」
『坂野!?』
「おやすみ!」
彼の言葉を遮るようにして電話を切った。
そっか。
イヴだとか浮かれたのは私だけか。
そうだよね。うん。
あぁ!!
こんなことになるなら、美智子との約束ブッチすんじゃなかったよ!
ちきしょう!!
武田のすっとこどっこい!
ヤケ酒だ、ヤケ酒!
……でも、私、ザルなんだけどね。
ハハ。
ハハハ。
はぁ~……。

