彼のことは苦手だった。


まずノリが悪い。

飲み会もほとんどこない。
部室にもあまり顔を出さない。

それにカンジ悪い。

私がテンション上げて騒いだりしてると、けっこうウザそうな目で見てる。

……気がする。

そう、あのメガネの奥の冷たい目が苦手。


そんな彼が今夜の飲みには参加したから、正直びっくりした。


「武田(タケダ)くんが来るって珍しくない?」

遠巻きに彼を見ながら、隣のモモに話し掛ける。

名字が桃川(モモカワ)だから、みんなからモモって呼ばれてる。
一浪してるから、トシはひとつ上の同級。
ちょいチャラ男。でも、けっこういいヤツ。


「だな~。まー、今年最後だからじゃない?」

「そっか」

納得。


確かに、今夜はいつもよりもたくさんの人が参加している。

今日はクリスマス前の土曜日。
今年最後のサークルのミーティングがさっき終わって今はそのあとの飲み会。