銭湯は歩いて5分くらいの場所にあって、煙突がある。バイトに行く途中、たまに煙突から煙が出ているのが見える。一度行ってみたいと思っていたけど、一人で行くのはなんとなく抵抗があって、でも結局、健司の言った通り、入る時は一人。ただ、中学校の入学式と一緒で、行きは一人で行くのは不安だけど、いざ着いたら一人になりたいものなのだ。



番台のところで男湯と女湯に分かれていて、番台に座っているおじさんに450円払った。



「それじゃあ、上がったらマッサージチェアに座って巨人でも観てて。今日、カープ戦だから。」



「あれ? 健司って野球好きなの? サッカー部じゃなかったっけ?」



「一応サッカー部だったけど、野球も観るのは好きだよ。」



「やっぱりカープファン?」



「もちろん、地元だし。」



番台のおじさんがわざとらしく咳をして、番台の裏の壁を指さした。見ると、巨人のユニフォームが3着並んでいた。おじさんは巨人ファンらしい。気まずい中、私たちはそれぞれののれんをくぐって、脱衣所に入った。